【謝罪会見出席多数のプロライターが教える】リスク・炎上対応広報の仕方

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こんにちは、平野麦です。みなさんお元気でしょうかー。
今日はちょっと貯金とは違い、「炎上・リスク対応広報」についてのお話です。
要するに謝らないといけないときの「上手な謝り方」という話です。
職業柄、謝罪会見に沢山出席してきました。その経験をもとにお話させていただきます。
最初に結論から言ってしまいますと「やばい!やらかした」と思った時点で、なるべく早く原因、対応策をまとめ、誠意をもって恥ずかしい部分も全部話して、謝っちゃう、というのが、リスク対応広報の仕方として最も良い方法です。
リスク対応広報のお手本
考えるきっかけになったのは、ユナイテッドピープルさんのこんなリリースでした。私のツイートを紹介しますね。
映画配給会社ユナイテッドピープルさん@upjp が映画「MMRワクチン告発」の上映中止。内容に疑念が理由
ちゃんと調べ、判断して、しかも恥ずかしい話なのに理由もきちんと説明する
リスク対応として100点満点です。次に配給される映画を観に行きたくなりましたhttps://t.co/Gu5ZfNY7fV
— 平野麦(プロライター) (@hirano_mugi) 2018年11月7日
これは、かなり良い例だと思います。教材のように使っちゃって申し訳ないのですが、リスク対応しようと思った方には、すごく勉強になる内容ですので、関根社長のリリースを読んでみてください。
映画『MMRワクチン告発』(原題:Vaxxed)日本配給会社のユナイテッドピープル株式会社より、本作の劇場公開中止の発表をさせていただきます。本作の公開を楽しみにされていた皆様、プレス関係者の皆様並びに劇場関係者の皆様には公開2週間を切っての急な公開中止となりご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。チケットをすでにご購入の皆様におかれましては、劇場窓口でご購入のチケットは劇場にて、メイジャー様でオンライン購入された方はメイジャー様にて、それ以外の皆様におかれましては、弊社より返金手続きを行います。こちらより、ご連絡くださいますようよろしくお願い申し上げます。弊社では配給会社メッセージとして「MMRワクチンと自閉症の因果関係の有無について科学的な証明がなされていないことを承知しておりますし、ワクチン接種に反対ではありません。ワクチン接種の重要性を認識しつつ、上記の理由に加え、本作の以下の点に合理性があると判断し、日本公開を決定しました。
・MMR(新三種混合)ワクチンの安全性について追加調査や研究が必要である
・安全性が確認されるまで、単独接種を推奨する
と発信しました。しかし、以下に説明する理由の通り、公開中止の決断を致しました。以下に、理由と、事の経緯をご説明させていただきます。(http://unitedpeople.jp/vaxxed/japan ユナイテッドピープル株式会社代表取締役 関根健次さんのコメント冒頭部分から引用)
まず、結論の公開中止であることをきっちりと書いて、経緯の概要も描いています。
そして、ここから、疑念をもった経緯と、監督とのやりとりという、社長からすれば「恥ずかしい内容」が書かれていきます。
やっぱりどうしても、なぜ事前に調べきれなかったのか?という思いは沸いてきます。
これについてもキチンと回答しています。
事実確認が遅かったのではないかと指摘されれば、その通りです。医療の専門家でない立場で、難しい分野の映画を取り扱うにあたり、それなりのリサーチはしておりましたが、足りませんでした。予め本件の事実関係をもっと早く知っていれば、公開直前での中止にはなりませんでした。その点悔やまれますが、弊社として、出来ることは直前とはなりましたが、劇場公開を中止させていただくことでした。(引用元 同上)
悪いことは、短く端的にすませたい!という思いで、「中止となりました!(理由込み入っているから特に説明しないぜ!)」という「お知らせ」を読みますが、大抵ネット民から「はぁ?おい、逃げたぞ!」となって、大炎上します。
失敗したことは恥ずかしいし、炎上すると大変つらい、ところですが、社会的責任を持っている方は逃げずに向かい合いましょう。
なるべく小出しにしない
企業不祥事の例でよくあることですが、情報を小出しにする例があります。
例えば今回はのお知らせ内容は以下の内容でできています。
・公開中止の連絡とお詫び
・経緯の説明
・今後の対応(払い戻しの方法)
・再発防止策、一度だけ上映会やってプロデューサーと質疑応答やるお知らせ
必須なものを揃えています。このタイミングでの検討は難しいとは思いますが、再発防止策の分量が少ないです。
今後、どう再発防止していくか、というのをより詳しく説明すればパーフェクトだったと思います。
でも、現時点これだけのことが書けている時点で、ほぼほぼ満点に近いリスク対応です。
では、もしこれを、リスク広報がわかっていない人がやると、どうやるのか?
公開中止します(理由は説明しない)→やっとお詫びして理由を説明する(恥ずかしい部分隠すから説明不足)→批判されて結局全部話す→払い戻しとかの説明をやっとする(お金いつ帰ってくるのという不安感を与えてた)→再発防止策がまとまったので報告します(やっとかよ)
考えうる限りで5回は謝罪会見できます(笑)。
しかし、小出しはは本当に嫌われます。なにより、「こいつら、ここまでで逃げられるなら逃げようと思ってたんじゃね?とか、本当は知っていたのに、隠蔽してたんじゃね?」という気持ちが、見ている側に生まれます。
別の小出し事例として、批判に悪い意味で振り回されちゃう例です。
批判したコメントに対して、全部にリプ返す、とかいうのは悪手ですし、一人でやっているブロガーさんとかは、さすがにうつになるんでやめましょう。
ただ、謝罪するときにはどこが疑念や批判を生んでいるのかつかまないと、見当違いな謝罪をしちゃって、何度も謝罪しないといけなくなりますので、読むだけは読みましょう。
隠蔽ダメ。絶対。
まぁ、隠したくなりますよね。なにしろ恥ずかしいですし。
ただ、一回不祥事置き始めると、内部でも「おいおい、いい加減にしろよ!隠すとか許せんわ」と不満を持ち始める人が出てきますので、隠蔽しようとしても、情報のもれは止まりません。
ですから、いっそのこと恥ずかしいことも、全部話しちゃいましょう。
ある程度、なにが問題だったのかまとまった時点(ざっくりでいいんです)で、「私たちはここまで調べました。どうやらこういう悪い点があったようです。」
「ですから今後こうしていきます!調査が完了していない部分は、今後、追って報告します!」と謝っちゃうのが良い方法です。
企業の場合なら、謝罪会見と同時に、第三者委員会立ち上げて、報告書は●か月後めどとかがクレバーですね。
リスク対応やったからと言ってプラスにはならない
リスク対応の目的は、マイナス100ぐらいのダメージをマイナス40ぐらいにとどめる、ということです。
誰もほめてはくれません。要するに敗戦処理です。
こんだけやっても、プラスにならないなんてやってられるか!と思うかもしれません。
でも、ほめてくれないからと言って、無視してると、マイナス200とか、評価が暴落しちゃいますので、きちんと対応されることをお勧めします。
最後に
テクニック面を中心に説明してきましたが、自分の行った行為が誰を傷つけたのか、何が問題があったのか、本質を見抜いて、きちんとお詫びの言葉を伝えるというのが最良の策です。
たとえば、今回の例でいえば、チケット買ってくれた人に申し訳ないと思っているからこそ、返金対応についてもすぐに説明を加えていますよね。
小手先だけでのお詫びは、見破られてしまいます。ですから、自分(たち)は何を傷つけて、なんで謝らないといけないのか、考えてみてくださいね。
まとめ
・リスク対応広報は超重要
・恥ずかしい経緯でも、全部出す
・情報は小出しにしない。ある程度まとまったら迅速に出す
・隠蔽ダメ。絶対。
・リスク対応広報は敗戦処理と考えよ
・テクニックも大事だけど、心からのお詫び、誰に向けて謝るのかを考えることが最も大事
お詫びするお時の必要な項目もざっとまとめておきますね。炎上したりした時に、自分が悪いと思ったら、ご参考にしてみてください。
もちろん、炎上しても、これは間違っていない!という時は、あいまいに謝罪せず貫いてくださいね。
お詫びするときに必要な項目の概要
・連絡事項とお詫び
・経緯の説明
・今後の対応
・再発防止策
・最高責任者の名前でコメント出す、会見も同じ